今年度、高等学校で必修の「探究」 教員の約5割「生徒の質問に答える時間や人脈ない」
今年度から高等学校で必修となった「総合的な探究の時間(以下、探究)」の指導について全国の高等学校の教員360人を対象に実態調査を行いました。探究を教えていて感じる課題は、約5割の教員が「生徒からの質問に答えるために情報を調べる時間や、大学の研究室などに問い合わせるネットワークがない」と答えました。
■調査結果① 約5割「生徒の質問に答える時間や人脈ない」
「探究」の指導経験がある301人のうち、「探究」を教えていて感じる課題で最も多かったのは「生徒からの質問に答えるために情報を調べる時間がない」で23%でした。次いで22%が「生徒からの質問に答えるために大学の研究室などに問い合わせるネットワークがない」と答えました。「生徒からの質問に答える方法がわからない」も5%いて、教員だけで生徒の質問に答えることに負担を感じる教員が多いことが明らかになりました。
■調査結果② 4割超が「教員同士で指導法を検討」
「探究」を教えていて感じた課題をどのように解決しようとしているかという質問には、43%が「教員同士で指導法を検討」と最も多く回答が集まりました。「指導法をレクチャーするセミナーに参加」は22%いたものの、「塾や指導の専門機関を学校に招き勉強」は4%のみで、専門家などに指導のアドバイスを求めながらも学校の中でのサポートは限られていることが明らかになりました。
■調査結果③ 最も希望するのは「学生による学習サポート」
学校の通常の授業以外で生徒の探究学習をサポートするとしたら、どのようなことに取り組みたいかという質問には、「放課後の教室で学生が生徒の学習をサポートする」が最も多い34%で、「放課後の教室で教員が生徒に補習指導を行う」(31%)を上回りました。「探究の副教材を生徒に配布する」も15%で、教員が指導する以外の方法を希望する教員が多いことがわかりました。
■「探究」とは
生徒が自ら課題を設定し、その解決に向けて考え、判断し、行動していく「総合的な学習の時間」は、学習指導要領の改訂で「総合的な探究の時間」と名称が変更されました。生徒が主体的に学習テーマを設定し、情報収集や分析をしてまとめるプロセスの中で、実社会で活用できる能力を育成する時間です。