プログラミング教育・高等学校「情報I」の現状に関する報告書
日本国内の学校教育におけるプログラミング教育・高等学校「情報I」の現状に関する報告書を公開した。
全国の小学校教員1,036名、中学校教員1,539名、高校教員550名、小学生・中学生・高校生およびその保護者3,000組を対象にアンケート調査を実施した。
加えて、保護者18名へグループインタビューを行い、定性的な調査も実施した。
調査結果からは以下のことが考察されている。
【考察1】児童・生徒がプログラミングに関心を持つことで、小・中学校の教員は手応えを感じている
児童・生徒がプログラミングに興味を持ったと手応えを感じる教員が前回調査と比較すると大幅に増えている。これは、プログラミング教育の実施率が増加したため、実践を重ねていくことで児童・生徒の意欲関心も高まり、教員の苦手意識が払拭され、手応えに変わっていったものと考察されている。
【考察2】88.0%の高校教員が、ほとんどあるいは一部の生徒以外は中学校段階のプログラミングを理解していないと感じている
高校教員からみた、高校入学時の生徒の中学校段階におけるプログラミング教育への理解について、「ほとんどの生徒が理解していない」「一部の生徒が理解している」がそれぞれ4割超、合わせて9割近い結果になった。
【考察3】81.7%の高校教員が2025年に大学入学共通テストに「情報」が新設されることに不安を感じている
高校教員調査の中で、多くの教員が「情報」を担当することに対して、ポジティブと回答した。しかし、2025年から大学入学共通テスト(以下、「共通テスト」)に「情報」が新設されることに対しては、81.7%の教員が不安を感じている。加えて、82.7%の教員が、「情報I」全体として「授業時数が少ない」と回答している。
【考察4】プログラミングやコンピュータサイエンス分野におけるジェンダーギャップが各学校段階において認められる
自分が将来プログラミング関連の仕事に就くと思うかという設問に対して、「とてもそう思う」「そう思う」と回答した児童・生徒は、全ての学校種において、女子よりも男子の方が高く、「あまりそう思わない」「全くそう思わない」と回答した児童・生徒は、すべての学校種において男子よりも女子の方が高いことがわかった。
また、プログラミングの学習を継続したいかどうかに関して、「これ以上に学びたいとは思わない」と回答した割合も、全ての学校種において女子の方が高い結果となった。特に、高校生女子は「これ以上に学びたいとは思わない」が全体の半数を超えた。