2020年の小学校でのプログラミング必修化を皮切りに、2021年には中学校の技術・家庭科におけるプログラミング領域が拡大、2022年には高校で「情報1」が必修化しました。さらに大学入試においても、2025年から早稲田大学をはじめ私立大学での受験科目化が決定しているだけでなく、大学入試共通テストにおいても科目として追加され、一部を除き国公立大学受験者は受験が必要になります。
さらに、大学入学後も、国公立大学ではAI教育が必修化となる予定で、これからの時代は基本的に全ての生徒や学生がこのIT領域を学んでいくことになります。
■小学校でプログラミング教育はしっかりできている?
はじめに、2020年からプログラミングが必修化している小学校でのIT教育の現状を実際に見ていきましょう。
学校現場のIT教育の実情と保護者の認識のズレ
子どもたちのICT環境を整えるため、文部科学省がGIGAスクール構想という計画のもと、小・中学生に対して一人一台のパソコンを配布しました。
ただ、小学校の先生の多くはこれまでIT領域にふれてきておらず、この分野をしっかりと教えることができていないというのが現状です。中にはIT領域に精通した先生も一定数いますが、やはり学校によって授業のクオリティに大きな差が出てしまうため、小学生のIT分野の理解も基礎の基礎にとどまっています。「なんとなくパソコンを触った」というレベルの生徒さんも多いはずです。
しかし、保護者からはそのような学校の現状が完全に見えているわけではないため、「PCが配られているから、プログラミングはなんだかんだ学校でやっているんでしょう?」と思われている方も一定数いらっしゃいます。
近くにある学校のプログラミング授業の実情を聞いてみましょう
まさにIT教育の整備が追いついていないこの現状はプログラミング教室としてはチャンスでもあります。
例えば近くにある学校のIT教育の実施状況を把握し、あまり実施できていない学校であることがわかれば、ぜひそれを保護者の方に伝えてみてください。IT教育の重要性については保護者の間で徐々に認知はされてきていますので、学校のIT教育の現状とセットでお伝えいただくことは一定の効果があると考えられます。
■高校での「情報1」の授業実施状況
「情報1」対策の現状と今後
上述のように、国公立大学の受験者は大学入試共通テストにおいて「情報1」の受験が基本的には必要になります。実際に、共通テストで「情報1」を受験科目として採用している大学のうち、国立大学は97%が受験必須、公立大学は約半数が受験必須としているデータも出ています。
国公⽴⼤ 共通テスト「情報I」の設定状況 (c) Kawaijuku Educational Institution.
※【大学入学共通テスト2025】「情報I」必須は国立97%、公立44%
とはいえ、高校での「情報1」授業の実施も円滑にはいっていません。よくあるパターンとして、高校1年生で単位分の「情報1」の授業を実施して終わりになってしまっているのが現状です。そのため、これからの動きとしては、高校3年生になって受験のために急ぎ対策する、という受験生が急増するのではないかと予測できます。
ただ、学校現場に「情報1」を教えられる先生も多くはありません。そして生徒さん自身もIT分野を学習していない状況であれば、急な受験対策も一筋縄ではいかない可能性が高いと予測できるでしょう。
早期のプログラミング学習によって受験にアドバンテージを
そのような状況に陥らないようにするためには、なるべく早い時期からプログラミングをはじめとしたIT領域の学習を始めることが効果的ですし、むしろ大きなアドバンテージにもなります。また、受験対策とともに、今後社会に求められるデジタル教養を身に付けていただくことは、学習上も時間と心にゆとりを生み、お子さまの将来の選択肢の幅を広げることにつながります。