「十二月大歌舞伎」を見に行きました~伝統と革新~
昨年12月に歌舞伎座に「十二月大歌舞伎」を見に行ってきました。
今回は2つの演目を見ました。
あらずじは以下の通りです。
一、旅噂岡崎猫(たびのうわさおかざきのねこ)
化け猫伝説を題材に趣向が凝らされたひと幕
由井民部之助とお袖夫婦は幼い子を連れて、東海道の岡崎宿の外れまでやって来ます。そこで無量寺に一夜の宿を求めますが、寺を預かるおさんという老婆は病死したはずのお袖の母と瓜二つ。甦ったのだというその老婆は初孫を見て喜びますが、その正体は恐ろしい猫の怪で…。
というお話。
岡崎の古寺に現れる化け猫伝説を題材に、老婆に化けた猫の怪が十二単を着て出現するなど、恐ろしくも歌舞伎らしい趣向を凝らした作品で大変楽しめました。主役は坂東三津五郎さんの息子さん坂東巳之助さん。特に影絵を使った化け物の表現や、意外な歌舞伎役者役者さんの体力が見られたところが印象的でした。私は2演目目目当てで見に行ったのですが、コチラも面白く、初めての方にもオススメです!
二、今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)
ついに“超歌舞伎”が歌舞伎座に初降臨!
神木である千本桜の咲き誇る神代の時代、この世を闇に落とさんと企む青龍の精の襲撃を受け、桜はその花を散らし、世界は闇に包まれ、神木を守護なす白狐や美玖姫はその難を数多の犠牲を伴って逃げ延びます――。時は移り。枯れ果てた千本桜の周りで寂しく舞う蝶々は、記憶を失い逃げ延びた美玖姫の仮の姿。そこへ、白狐が転生した姿である佐藤忠信が現れます。神代の時代の記憶を残す忠信は、美玖姫に駆け寄りますが…。
というお話。
歌舞伎の名作『義経千本桜』と、バーチャル・シンガー初音ミクの代表曲である「千本桜」の世界観に着想を得て書き下ろされた作品で、ニコニコ動画の祭典「ニコニコ超会議2016」で初演されました。また、ただの歌舞伎ではなく『超歌舞伎』と言われる所以は、古典歌舞伎とNTTの技術を始めとした最新のテクノロジーが融合した”伝統と革新”の融合だからです。
私は「ニコニコ超会議」の時も見に行ったのですが、ついに本場の歌舞伎座でやることを楽しみにしておりました。また、主役の中村獅童さんの悲願でもあったためつられて感動してしまいました。ついにここまで来たのだなと。息子さん2人も出ていて大変ほほえましかったです。
そしてこの作品は歌舞伎歌舞伎していなく、普段歌舞伎座になじみのないお客さんもいっぱいおり、みんなでペンライトを振ってライブ感覚で楽しむことができました。舞台と客席との一体感は忘れられません。思わず高校球児ばりに、記念に会場の花吹雪も持って帰ってしまいました(笑)
『伝統と革新』
歌舞伎は江戸時代に流行りましたが、演目は当時の最新の流行を反映しています。それが今は古典となっているわけです。相反するようですが、実は伝統を守るには古いことをやっているばかりではダメで、常に新しいことをやっていかなければいずれ消えてなくなってしまいます。昔の人が常に新しいことをやり続けてきた結果、今も脈々と受け継がれているのだろうなと感じました。いずれこの超歌舞伎も古典となっていくのだと私は思います。
▼緞帳も毎回凝っているので見てみてください
P.S.ルパン歌舞伎も見たかったな~