
【観劇レポート】歌舞伎座で「義経千本桜」鑑賞!~錦秋十月大歌舞伎~
2025.10.10
目次
【観劇レポート】歌舞伎座で「義経千本桜」鑑賞!~錦秋十月大歌舞伎~
先日、歌舞伎座で上演中の「錦秋十月大歌舞伎」、通し狂言『義経千本桜』を観てきました。
私が観たのは、【第一部「渡海屋・大物浦」】と、【第三部「川連法眼館」】の二つの幕。
それぞれに趣向が凝らされていて、まさに“歌舞伎の魅力がぎゅっと詰まった”公演でした!
■ 節目の年にふさわしい豪華なラインナップ
今年は竹株式会社 創業130周年という節目の年。
それを記念して、歌舞伎座では三大名作――
『仮名手本忠臣蔵』『菅原伝授手習鑑』『義経千本桜』が、
2025年3月・9月・10月と3ヶ月連続で上演されるという、歌舞伎ファンにはたまらない企画が実現しています。
これら三作は、もともと人形浄瑠璃のために書かれた「義太夫狂言」の代表格で、
後に歌舞伎化された際にも、それぞれに独自の演出や工夫が加えられ、
現在に至るまで様式美と完成度の高さを誇る名作として上演され続けています。
■ 第一部:「渡海屋・大物浦」〜中村隼人の碇知盛がすごかった!
まずは、第一部の『渡海屋・大物浦』。
ここでは、源義経を討つために名を変えて生き延びた平家の武将・平知盛が登場します。
知盛が演じられるのは、ドラマ『べらぼう』でも話題の中村隼人さん!
碇綱を体に巻きつけて入水するという、あまりにも劇的で壮絶なラスト。
この「碇知盛(いかりとももり)」は、まさに『義経千本桜』の中でも最も印象的な場面のひとつ。
隼人さんの低く野太い声の唸りに、鳥肌が立ちました。
普段の彼の爽やかなイメージとはまったく違う、重厚で渋くてかっこいい知盛。
いやあ、これは忘れられない…。
■ 第三部:「川連法眼館」〜市川團子の源九郎狐に拍手喝采!
続いては第三部『川連法眼館』。
主演は、俳優・香川照之さんの息子である市川團子さん。
演じたのは、源義経に仕える「源九郎狐(げんくろうぎつね)」です。
この役は、ただの狐ではありません。
親狐を思う子狐の情愛と、派手なケレン味を兼ね備えた超難役。
実はこの源九郎狐には2つの型があり、
團子さんが演じたのは、澤瀉屋(おもだかや)型。
猿翁さんが命をかけて磨き上げてきたスタイルで、
欄間抜け、宙乗りなどのアクロバティックな演出に加え、
狐の愛らしさや切なさも丁寧に描かれる、とても繊細な表現が求められる役なんです。
正直、21歳という若さでこの役を務めると聞いて、
歌舞伎ファンとしては「大丈夫かな?」と少し心配していました。
でも、そんな心配は一瞬で吹き飛びました。
狐のしゃべり方、動き、表情。
どれも驚くほど自然で、“狐がそこにいる”と錯覚するほどの演技力。
そして宙乗りの場面では、客席から割れんばかりの拍手が!
あの瞬間、澤瀉屋の伝統が確かに次世代に引き継がれたと感じました。
まさに新時代の幕開け。宝物のような瞬間に立ち会えたことが、心から嬉しかったです。
■ おわりに:やっぱり歌舞伎はやめられない
名作『義経千本桜』は、源義経という歴史上の人物を軸に、
平家の残党や狐、人間の情愛や義理が入り乱れる、壮大な物語。
その世界観にどっぷり浸った一日でした。
一度見ても、また見たくなる。
毎回違う発見がある。
これだから、歌舞伎はやめられないんですよね。
次は『十二月 超歌舞伎』かな?
また感動をもらいに、歌舞伎座へ足を運びたいと思います!