
八月納涼歌舞伎「野田版 研辰の討たれ」鑑賞記
2025.08.21
ついに念願の「野田版 研辰の討たれ」を歌舞伎座で観てきました。ずっと観たいと思い続けてきた演目だけに、ようやく観ることができて本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。
この作品はかつて父・十八代目中村勘三郎さんの当たり役でしたが、今回はその息子・中村勘九郎さんが主演。中村家にぴったりの演目だと改めて感じました。さらに、25年前にフランス公演でこの作品が上演された際と同じ役者陣が再び同じ役を演じているのも、時の流れを感じさせて感慨深かったです。
中村勘九郎さんの熱演は圧巻。90分という長丁場を、早口の台詞で一気に駆け抜ける技量と、潔い散り際の表現には心を打たれました。懐かしの一発屋芸人ネタなどのギャグがふんだんに盛り込まれていて、前半は笑いっぱなし。
野田秀樹さんの演出らしく、大人数の出演者、凝った舞台装置、ダンスなどが舞台を彩り、まさに納涼にふさわしい華やかさ。
お盆にふと訪れた楽しさと涼しさに、心が満たされる観劇体験でした。